一般的に捻挫というと軽いケガと考えがちですが、捻挫も靭帯損傷に含まれ、そのままにしておくとなかなか痛みがとれなかったり、くせになったりします。
すぐに治ると考えて対処法をまちがえると長引くケガになりかねません。
ここでは
- 捻挫が治るにはどのくらいの期間がかかるのか?
- 捻挫したらどう応急処置したらいいのか?
という疑問にお答えしていきます。
ケガした上での日常生活での注意点や、かんたんにできるストレッチもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
足の捻挫の程度と治療期間の目安
足首捻挫の程度は軽度、中等度、重度に分けられます。
捻挫の程度 | 症状 | 治療期間 |
軽度 | 靭帯が引き伸ばされたもの腫れが目立たず、痛みも我慢できる程度なら軽度と言えます | 約1~2週間 |
中等度 | 靭帯の部分断裂 靭帯が断裂していても歩ける場合もあります外くるぶし周辺が腫れてきたり、内出血の青あざができている時は中等度と言えます | 2~6週間 |
重度 | 靭帯の完全断裂 足関節が不安定で歩行できない | 2~3カ月以上 |
「痛くないから大丈夫」と思っても後から腫れや痛みが出てくることもあるため応急処置を必ず行いましょう。
足捻挫の応急処置
足捻挫は応急処置をすることで内出血や痛み、腫れを抑え早期回復につながります。
安静(Rest)・冷却(Icing)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation)の頭文字をとってRICE処置と呼ばれています。
捻挫は受傷後6時間以内に応急処置を済ませることで早期回復につながります。
1.安静(Rest)
患部を動かさず、なるべく安静に過ごします。
2.冷却(Icing)
痛みを軽減するため患部を氷で10~15分ほど冷やします。
保冷材や氷のうでもいいですし、ビニール袋に氷を入れて患部にあてる方法もあります。
患部の感覚がなくなったら、一度氷をはずし皮膚感覚を取り戻してから再度冷やします。
1~3日間は続けましょう。
3.圧迫(Compression)
腫れや炎症を抑えるため、テーピングや包帯で患部を巻き、適度に圧迫して固定します。
患部の血流が悪くなるため、圧迫しすぎに注意しましょう。
4.挙上(Elevation)
患部を心臓より高く上げることで、腫れを抑えます。
クッションなどの上に足を乗せておくといいです。
引用元:https://trainers-academy.net/first-aid-rice/
あくまで応急処置ですので、2~3日しても痛みがあったり腫れがある場合は医療機関の受診が必要です。
捻挫直後は温湿布や入浴で患部を温めることはやめましょう。
温めると血流が良くなり、腫れや内出血を悪化させ治りが遅くなることもあるからです。
4~7日経って患部の痛みが落ち着いてきたら、入浴などで体を温め、血行を促進させることが大切です。
受診は整形外科へ
捻挫の場合、まずは整形外科の受診をオススメします。
歩けても靭帯が切れていたり、捻挫だと思っていても骨折している場合もあるからです。
整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査で診断を行い傷病名を確定し、診断後、症状に合わせて処置や注射、手術などの治療をしてもらえます。
また、保険請求に必要な診断書や後遺障害診断書を書いてもらえるのも整形外科になります。
受傷後早目に適切な診断をしてもらいましょう。
診断後、整骨院での施術も可能です
整形外科が遠くて通いにくかったり、診察時間内に通うのがむずかしい方、整形外科の治療で症状の改善が感じられない方には、整骨院での治療もあります。
整骨院のメリットは主に次の3点です。
- 一人ひとりに時間をかけて施術してもらえる
- リハビリや痛みの緩和に重点を置いている
- 夜遅くまで開いている店舗もある
整骨院での施術について、捻挫の場合健康保険が適用されますが、施術内容によっては健康保険が適用にならない場合もあるので注意が必要です。
〈健康保険が適用される場合〉
- 捻挫・打撲・挫傷(医師の同意不要)
- 骨折・脱臼(医師の同意必要)
〈健康保険が適用されない場合〉
- 単なる筋肉疲労が原因
- 症状改善が見られない3カ月以上の治療
- 仕事中や通勤途上におきた負傷
- 同時期、同症状で整形外科と整骨院を併用
整骨院で施術を受けるときは、健康保険のトラブル防止のため、ケガの原因や部位をしっかり伝えましょう。
また、整形外科の医師に整骨院へ通いたいことを相談してみてください。
捻挫の治療で難しいのは、痛みがなくなったからといって治ったとは言えないということです。
組織の修復にはかなりの時間がかかることを頭に置いておく必要があります。
再発を防ぐためにも、あくまで完治させることを目標にしましょう。
早く治すための日常生活での注意点
バランスのよい食事
ケガをすると普段より運動量が減ってしまうので摂取カロリーを抑えることになりますが、減らしすぎると回復を遅らせてしまうことになります。
捻挫の回復には
- タンパク質(肉・魚・卵・豆類・乳製品)
- ビタミンC(果物・野菜)
を意識して摂取しましょう。
飲酒と入浴は避ける
ある程度痛みや腫れがひくまで(およそ3日間)は、飲酒や入浴は避けましょう。
血流が良くなると、患部の状態が悪化して治りが遅くなることがあるからです。
湿布では治らないと考える
湿布には炎症を抑えたり、鎮痛作用がありますがケガを治す効果はありません。
むやみに貼ると副作用があるので、用法・用量を守って使用しましょう。
痛みがやわらいだら温める
腫れや痛みが落ち着いてきたら(およそケガから4~7日後)、入浴、足浴、温湿布などで患部を温めるようにしましょう。
血液の循環がよくなり、腫れがひきやすくなります。
十分に睡眠をとる
足首に負担がかからないように、患部を上にして横向きになって寝ましょう。
仰向けで寝ると、毛布や布団の重みで足首が伸ばされ患部に負担がかかることになります。
患部の固定にはサポーターがオススメ
足首を固定するのには、テーピングやサポーターを用います。
患部の補強ができ、ケガの再発防止や悪化防止につながります。
テーピングは巻き方、固定力に専門的な技術が必要になるため、ここでは自分でかんたんに装着できるサポーターをオススメします。
足首サポーターの特徴
- 靴下のように履くタイプもあり、自分でかんたんに装着できる。
- 短時間で装着できる。
- 医療用サポーター(捻挫などケガの予防・治療を目的としたもの)、日常生活のサポート用などさまざまな種類があるので、自分の目的に合ったものを選べる。
- 価格が高いですが、くり返し使えて経済的。
一方、テーピングは価格が安いのがメリットですが、巻き方に専門的な技術が必要で、適切に巻けていないと動作に支障をきたす場合があります。
テーピング・サポーターに共通して言えることは、長時間装着し続けないということです。
寝る時にははずしましょう。
長時間の使用でかぶれて皮膚障害が出たり、締め付けによって血行障害が起こったりすることもあります。
また、長期間の使用にも注意が必要で、テーピングやサポーターに頼りすぎてしまうと、筋肉の萎縮や靭帯の弱化につながります。
自分でできるかんたんストレッチを紹介
できるだけ早く普段の生活にもどるために関節周囲の柔軟性を高めることが大切です。
自分でできるかんたんストレッチを3つご紹介します。
1 足指グー、チョキ、パー
指を丸めてグー、指を1本立てチョキ、指を広げてパーをゆっくり行う。
5回ずつ2セットが目安です。
2 かかと上げ下げ運動
- 壁やイスの背に手をかけ、両足を肩幅に広げて立ちます。
- ゆっくりかかとを上げたり下げたりします。
親指の付け根に体重をかけるようにします。
10~20回を2セットが目安です。
3 足の指を90度曲げる
- 足を伸ばして座り、ケガした足を反対足の膝にのせる。
- 手でケガした足の指を上側に90度ゆっくり曲げる。
10回が目安です。
足関節の可動域を広げることで再発防止につながります。
かんたんなストレッチですが、意識しながら丁寧に行いましょう。
足捻挫を早く治す!まとめ
足捻挫を早く治すために大切なことは以下の6点です。
- 応急処置「RICE処置」
- バランスの良い食事・十分な睡眠
- 痛み、腫れがなくなったら温める
- 整形外科を受診する
- 適切にサポーターを使用
- 関節をやわらかくするストレッチ
捻挫をそのままにしておくと、治りが遅くなったり、日常生活に支障がでたりします。
早く治すためにも、今回ご紹介した方法を実践してみて下さいね。